変身リベンジャースーパーファイトバック
社会人には社会人なりの不可抗力というものがある。
たとえば、仕事の終わり際に飛び込みで仕事が入る。残業になる。仕事が終わらないから残業しているのに電話は鳴る。その対応でいらん時間を割かれる。出れば急を要する用件だったりする。担当者に連絡を取るも電話には出ず、他のものに聞けば本人は取引先から直帰予定だ。しつこくかけるも電話に出ようとしない。ついには電源を落とされてしまった。仕方無しにそっちを片付けようとすれば、当然ながら自分の仕事が滞る。忙しい。時間を忘れて仕事をする。
なのに、そんな時に限って約束なんかがあったりする。
もちろん最初から忘れているわけではない。残業で遅くなると、たったひとこと電話なりメールをすればよいだけだ。しようと思っていると電話がかかってきて、次から次へと用事ができて、ついタイミングを逃して、本当に間の悪いことに自分のケータイは充電切れをおこしていたりしてりする。
相手から連絡でもあれば思い出すし、ちゃんと説明もできるが、肝心のケータイは無言のままで、もちろんメールも受信しないで、ついにはケータイの存在すら忘れてしまう。
そうこうしてるうちに会社に戻ってきた同僚に誘われ、ついうっかり酒など飲みにいったりすれば、すべてが忘却の彼方だ。そんないい訳のような連鎖も、この世にはないとは言い切れないのである。
事実あった。
ようするに、付き合って2年も経てば、多少は気も緩むこともあるということだ。
問題は忘れられた相手だ。それはそれは怒っているに違いない。普段から怒りの沸点が低いのだから想像するに容易いことだ。だから、その対処方法が問題なのである。
まずは、口先だけでも謝らなければならないだろう。
機嫌をとるのもいいかもしれない。だが、これには出費が生じるが、それは仕方ない。そして物ならば酒か食い物だ。
そして最後にはセックスにもつれこんで、うやむやにしてしまう。
と、まあそんな手順だが、さて、こんな安易にあれを宥めることができるのだろうか。
ゾロはそこまで考え、いろいろ面倒になって、その先考えるのをやめた。
その2週間後のことである。ゾロは仕事帰りにサンジのマンションを訪れた。
昨年サンジは祖父の元から独立して、今は一人でマンション住まいだ。小奇麗なワンルームのマンションで生活している。
何回かけても電話にも出ようとしないサンジの元へと、ゾロは仕方なしに出向いた。
既に深夜0時はとうに過ぎている。明日はバラティエの定休日で、合わせるようにゾロも有給をとった。こんなとき、今までならサンジがゾロの元へやってきて、いくら遅く戻ろうと御飯はできている上に食後にはサンジまでいただき、そして翌日までずっと二人で過ごすことのできる数少ない貴重な夜だった。だが、すっぽかしの件以来、サンジからすっかり音信不通になった。
ぶん、小さな羽音とともに、夜道を歩くゾロの鼻先を虫が過ぎった。
今年の夏は例年よりも気温が高い。
今夜もさほど気温は下がらず、ムシムシした熱帯夜だ。
湿った生温い夜風がゾロの頬を撫で、じわっと滲む額の汗を拭って、足早にサンジのマンションへと向かった。
11階建てのマンション。見上げれば部屋に明かりがついている。大丈夫だ。不在でないかを確認して、まっすぐに8階の部屋をめざした。
ゾロがインターホンを押す。
だが応答がない。
もう一度押すと、ドアがカチリと音を立てた。
10cmだけ扉が開き、その僅かな隙間からサンジが顔を覗かせた。ドアチェーンはかけたままである。
「何だ?」
不機嫌そうな声の扉の隙間から、ゾロは手した酒を覗かせた。
ワインとビールだ。ビールは自分用だが、ワインはサンジが生まれた年のもので、かなり出来がいいと評判のものだった。奇跡のワインといわれている。レア物で、そんな滅多に市場に出回らない、手に入らないような極上品を、ゾロは脅すようにしてある知り合いから手に入れた。正確には奪い取った。相手はヘルメッポという金持ちのドラ息子だ。
そのワインをみて、サンジの顔色がさっと変わった。
誘われるように伸ばされた手首を掴んで、
「その前にチェーンだ」
取引をした。
「とりあえず、俺が悪かった。謝る」
サンジの眉がピクッと上がった。
「ボケ。とりあえずって謝り方が通用する世界はこの世にゃねぇぞ。ったく俺の予定を踏みにじりやがって。本来なら絶縁状か三行半を突きつけてやるところだ。ワインのおまけとしててめぇを部屋に入れてやっただけで、勘違いすんじゃねぇ。酒と俺に感謝しやがれ」
憎まれ口を叩きつつ、眉間にしわを寄せたまま瓶やラベルを食い入るような眼で見た。
気に入ったのは間違いないらしい。
「せっかくだから開けてみろ」
そんなすごいワインなら、是非とも自分がいる時に開けてもらいたいとゾロは考えた。いくら脅し取ったものとはいえ、ここまで運んできたのは自分である。
すると、
「だめだ。澱が混じっちまった。レディは大切に扱わなきゃなんねぇんだ。眠りから覚ましてやるときも、そっと優しく起こしてやんねぇとな。デリケートだから、てめぇと違ってさ。ちなみに俺もデリケートなわけだが、知ってたか?」
そういって大事そうにワインを閉まった。
やはり簡単に懐柔されない。
「お前も働いてんだからわかんだろ?仕方ねぇことだってある」
ゾロが窮屈そうにネクタイを外した。
「全然わかってねぇ」
サンジがゾロに近づき、
「俺がなんで怒ってるか理解してねぇ」
「連絡もしなかったことを怒ってんだろうが」
もう細かいことはどうでもいいと、そんな表情をするゾロを、サンジは睨むような眼でみた。
「阿呆が。いいか、お前が忘れたのは約束じゃなくて俺だ。正直にいってみろ。しばらくは俺のこと思い出しもしなかっただろ」
一瞬、ゾロの眼が揺らいだ。そんな眼の奥を探るかのように、ずっと視線を逸らさず、口を閉ざした男をサンジはさらに追い詰める。
「お互い社会人だ。仕事のことをとやかく言うつもりはねぇ。けど、お前は忘れた。俺を忘れた。思い出したのはいつだ?てめぇが忘れたのは約束だけじゃねぇ」
ゾロが思い出したのは5日後だった。
経理課に溜まった領収書を出しにいって、そこでナミに嫌味をいわれた。
「今頃こんなの持ってきて…。それにコレとコレは経費じゃ落ちないから。何回いったらわかるのかしら?もう10回は教えたわよね?覚える気がないわけ?あんたクルクルよ、クルクルパー。馬鹿も大概にして。疲れるから」
可愛いらしい声で、懐かしい死語を使った説教を食らった。人から面と向かってそんなこと言われたのは生まれて初めてだった。指をクルクル廻しながらクルクルパーと、腹が立つ前に驚いた。よりにもよって、その時5日ぶりにサンジと約束をゾロは思い出した。
だが、これだけは絶対口にするわけにはいかない。 そうしたらもう修復不能だ。
白いシャツこと腕を掴み、丸みをおびた黄色い後頭部を掌で包み込み、ゆっくりと自分に引き寄せ、唇を軽く重ねて、
「わりぃ…」
息を吹き込むようにゾロが呟いた。
するとサンジが、
「あ…あ」
呻くような声で、
「あ、あ、汗臭せえええええ!行け!!さっさと風呂に入ってこいっ!」
しかめっ面で怒鳴った。
2年も付き合っていれば、色々と薄れてくるものもある。
ゾロが風呂から上がるとサンジがビールを飲んでいた。自分の持ってきた、まだ冷たいビールである。そしてゾロは冷蔵庫を開けるもそこに酒がないのを確認して、すぐに扉を閉めた。そして箱の中からぬるい缶を取り、一気に腹に流し込むとサンジをベッドへと誘った。
適度な温度に設定されたエアコン、清潔なシーツはいつもと同じで、肌も、その温もりに触れるのも実に久しぶりである。空気のように自分に馴染んだものばかりだ。
軽くキスをして、首を愛撫し、手をサンジの股間におくと、その温みを掌で覆った。生地の上から撫でるとすぐに硬くなる。
そして後ろを愛撫しようとするその手を、サンジがをぎゅっと握った。
「なァ、このままちゃらにしちまおうって考えんのか?」
真っ直ぐな眼でゾロに問いかける。
「いや。ちゃんと謝った」
「言葉ではな」
「酒もある」
「ありゃいい酒だ」
だが、といいつつサンジはゾロの手を自分の唇へと引き寄せ、
「あのさ、ほんとは言葉なんかいらねぇんだ…。というか、言葉とかじゃなくてさ、てめぇ自身で俺に応えてくれれば」
「俺?」
「たとえば…、たとえばだけど、俺がいいって言うまで、出すの我慢できる?」
「お前、酷ぇ…。俺に出すなってか?」
「苛めたい訳じゃねぇって。ただ」
指先に短い頭髪を絡め、
「俺のために」
優しく撫でて、
「お前が我慢してんのが見たい」
サンジがゾロを誘う。
小鳥のような啄ばむようなキスを繰り返しては、その指をしゃぶるように口に含んでは下を絡ませ、
「なァ、できるよな?俺のこと抱きてぇだろ?」
お前が我慢してる姿はとてもセクシーだ、そういって唾液に濡れた指先にまたキスして、サンジがニッと笑った。
実を言えばゾロは遅漏気味である。サンジのいうとおりだと認めるのは癪だが、我慢するのはさほど苦痛でない。
まずはサンジを先に射精させて、2回目は焦らすだけ焦らしておあずけを食らわせ、とことん追い込んでから朦朧とした状態で承諾させ、そしたら自分も出せばいいだろうとゾロは簡単な予測図を頭に描いた。
確かに予定通り、事が運んでいるかのようだった。
焦らさないで最初から飛ばした。できるだけ前立腺を刺激するような角度で突き、背後から勃起したものを握った。ローションのぬめりで陰嚢をやわやわと愛撫する。根元から搾り上げるように扱いては、たまに亀頭を弄ぶ。サンジがシーツをギュッと握り締め、呻きながら身体を数度痙攣させた。放たれたものを先に塗りつけ、さらに愛撫する。
乱れた呼吸は整えさせない。
休ませない。
余計なことを考える時間を与えない。
達したばかりの状態を責められているからか、無意識に逃げようとする身体を押さえ、一度やわらかくなったものをまた掌に包むように握った。
辛いのか気持ちいいのかわからないような声でサンジが喘ぐ。だが何をされようと、「止せ」とも、「やめろ」とも口にしない。辛そうに眉を顰めて、目頭を少し赤くさせながら、その執拗な愛撫を受け入れた。
それがゾロにはきつかった。
いつもならば絶対に文句をいう。
絶倫毬藻。毬藻、毬藻、毬藻、遅漏、変態、ホモリーマン。
たまに蹴りを入れながら、行為の最中であろうと平気で罵る。
なのに今日に限っていうなら、その口からでるのは切なく甘い息だ。
蹴りのかわりにゾロの身体にやさしく触れ、腕をまわし、背中を、肩をやさしく強くぎゅっと抱き寄せる。
それがたまらなくきつい。
「おい…。もういいだろ…」
「…あ、っ…まだ…だ……」
バックに体位を変えようとしたら、
「…いや、このままでいい…。てめぇの顔が見えなくなっちまうと寂しい」
普段なら絶対口にしないことをさらりという。そんなサンジをゾロは後ろ髪をひかれる思いで引き剥がし、強引にうつ伏せにさせては、抵抗しようとしない腰を乱暴に引き寄せた。
突いては焦らすように腰の動きを止め、そして硬くなった小さな乳首を摘んでは、
「…っ、おい、またいきてぇだろ?もういいんじゃねぇか、かなりきついぞ…」
指先で揉みながら背後から訴えたが、
「てめぇが我慢してんだ…。…っ、俺のことは気にするな…」
「…いや、気にするなというか」
「…だから、俺のことは、好きなようにしていいか…ら…」
と、熱い息で喘がれ、ゾロは近年まれにみる我慢を強いられた。ギュッと目を瞑って、獣のような声で低く唸る。
この状態は非常に芳しくない。
「っ、出る…」
サンジの短い呟きと同時に、ゾロは手にあるものの根元を絞った。それでなくてももう危険域に突入してるというのに、呑み込まれてなるものかとそれを阻止した。責めているのはこちら側なのに、自分が拷問されてるように感じるのは気のせいか。
「…うっ」
辛そうな声につられるようにゾロまで呻いた。
ぎりと歯を食いしばり、僅かに振り返ってサンジが睨む。赤くなった目元がうっすら濡れていた。
できるだけ刺激が少ないようにと、ゾロがゆるりと腰を動かす。どうにか呼吸を整えようとするゾロとは対照的に、サンジは浅い呼吸を繰り返し、シーツに深く顔を埋め、その肩は耐えるかのようにずっと震えている。
「…あっ」
甲高い声とともに身体がビクッと震え、ゾロは反射的に握りこんだものをさらに絞った。
「ん、、あ、あああ、っ」
ビクッ、ビクビクッと腰が痙攣した。ゾロは金色の髪に顔を埋めて、眼をきつく瞑った。
大きな波が押し寄せてくる。
根こそぎ全部持っていかれそうな、甘く、凶暴な波だ。攫われそうになるのを、必死の思いで耐えた。
「…ちっくしょー、まだか……」
するとゆっくり身体を起こし、体内に入っていたものを自ら抜き、
「…てめぇだけだ…」
正面からゾロの頬に触れ、その肩に顔を埋めて、
――お前がいれば、俺は
サンジが囁いた。
喘ぎ声というより、それは短く、途切れ途切れな悲鳴のようなものに近かった。
いつも出さないような高めの声で啼き、しっとりと汗に濡れた金色の髪が揺れている。
どこを愛撫しても、どんな体位を取ろうと、どこまで追い込んでも、サンジの口からゾロの望む言葉がでなかった。
まず最初に、ゾロは頭で九九を数えた。6×9でうっかり変なモノを連想してしまい、思春期な中学生じゃあるまいしと、そんな自分が少し情けなくなった。
次に円周率を思い出そうとした。だが3.14159から先が思い出せない。もしかすると覚えなかっただけかもしれないとそれはやめて、だからといって微分積分など遥か忘却の彼方で、いくら時間を費やそうと思い出せる気がしない。数学のみならず、ゾロは学問を放棄した。
そして部長の顔を頭に描いた。
これは多少効き目があった。ゾロの部署の長であるその男は薄髪を非常に気にしているらしい。何故それがわかったかといえば、前にドラッグストアで件の部長の妻に、偶然出合ったことがあるからだ。いつだったか、社内行事で会ったことがあるので互いに顔は知っている。さばさばした感じで綺麗な、あの部長にははっきりいって不相応な女性だ。
簡単な挨拶をすると、ふと、その妻の手にしているものに目がいった。養毛剤である。
ゾロの視線に気づいたのか、妻は、
「ね、馬鹿みたいでしょ?こんなのつけたってハゲが治るわけじゃないのに。前に特売になってた養毛剤を買ってきたらすごく怒ったの。安かったし聞いたことないメーカーだったけど、まぁいいかと思って。だって、どうせ利かないんだから同じじゃないよねぇ?だいたい気休めよ、気休め。ハゲが治る薬なんかないんだから、はっきりいって金の無駄遣いだと思うわ。いっそズラでもつければいいのに、ハゲって往生際が悪いというか、毎朝毎晩いくらぴちゃぴちゃ頭につけたって死んだ毛根が蘇るわけじゃないし、毛なんか1本も生えやしないのに。もしかすると本人は生えているような気がするのかしら?あらやだ、毛生え薬じゃなくて気配薬?」
んまあ、私ったら、アーーアハハハハ、と妻は自分の駄洒落に高らかに笑った。
この話を聞いて、ゾロは少しだけ、本当に少しだけだけど部長を好きになった。正確には以前より嫌いでなくなった気がする。
ここまで思い出しては、繰り返し押し寄せる波と必死で闘うゾロをサンジが追い詰める。
「俺のことを忘れるな」
くしゃっと顔を歪ませ、眼を潤わせがら、何度も同じ言葉を繰り返す。
とてつもなくエロい顔で、惜しみなく媚態を曝け出した。
ゾロは次にウソップを思い出した。
ウソップの尻を想像してみる。勿論、実物を見たわけじゃないし、別に見たいとも思わないけれど、已むに已まれず頭に思い描いてみた。
リアルに近いほうがいいだろうと、臀部に出来物をつけて、ちょっとケツ毛も生やした。
「…んあ、ああっ」
サンジがぶるっと身を震わせ、すがるように手の中の腕をぎゅっと握った。
ゾロは急いでウソップの顔とサンジの顔を置き換えた。これはウソップだウソップだ、ウソップなんだと何回も念じると嘘のように高ぶりが引いていった。けれど、それも一時的なもので、すっかりほぐれたアナルは熱く、とろとろに蕩けてるくせに締めつけてはゾロを激しく責める。
そこでゾロはすべての想像を打ち切った。
もう前にも後ろにも進めない。
みこすり、いや、ひとこすり半で危ない。これは確信に近かった。ゾロの背中から、つうと汗が滴り落ちた。やけに冷たく、じっとりとした嫌な汗だ。
そんな辛そうな表情の、動きが止まったままのゾロの額に浮かぶ汗を指でそっと拭い、頬に触れ、両手で自分に引き寄せ、その頬にサンジが口付けた。
ゾロ、と小さな声で、口端に触れるようなキスをする。
また、ゾロ、と呼びながら、濡れたその唇を舐めて、
「どうしようもなく好きだ…」
サンジが囁いた。
「…っ…この、卑怯ものが……」
ゾロが唸った。
「何が?」
「あの状態で、俺にあんなことを……」
「はァ?だってアレはああいう風に使うんだろ?まァいいや、なにはともあれ、今回は俺の勝ちってことで」
サンジはニヤニヤ笑い、そしてだるそうに腰を上げた。
いつから勝負になったんだ、と胸倉を掴んで問い質したいが、背中一面を覆う敗北感にゾロは言葉もでない。
いった。よりにもよって、言葉でいってしまった。
ちなみに『アレ』の使い方も間違っていると言いたいところだが、ならば正しい使い方を教えろ言われるとゾロも困る。実は使ったことがない。
「前にさ、俺のケツに変なの突っ込んで、さんざ好き勝手してくれたことあったよなァ」
ニッと笑いながらサンジは窓辺に向かった。
いつの間にやらその分も加算されていたらしい。かなり根深い男だ。
シャッと軽やかな音で遮光カーテンが開かれると、ビルの谷間から生まれたばかりの朝日が部屋に飛び込んできた。
夏の夜明けは白く、そして黄色い。
「ハハッ、今日も太陽が元気だ。つうか、まっ黄っ黄じゃねぇか」
真っ裸で、朝日を浴びながら、サンジが窓辺で笑う。
不敵に、高らかに、両手を腰にあて、
ふははははははははははは
男らしい勝利の笑い声が部屋に響き、その背後のベッドから、小さな溜息が朝日の差し込む部屋に溶けた。
END
2006/6.1 2011・11.11改稿