月光豆を料理する









「…で、俺は言ってやった。何が値引きしてやるだ!ふざけんなふっかけやがって、恩着せがましいにも程がある!ってな。ほら、口をあけろ」
サンジは茹でた豆の皮をくるっと剥いて、ゾロの口に入れた。
月光豆。
うずらの卵のようなまだら色した皮をむくと、中から薄黄色の丸い実がつるんと出てくる。
たっぷりの湯で塩茹して、そのまま食しても旨いらしいが、サンジは料理に使うらしい。ほっこりとした食感が楽しめるこの豆は、茹でてから皮をむくのが特徴だ。
「旨みを逃がさねぇために、まずは皮付で茹でてから調理するんだ、って、こんなこと教えても、てめぇじゃ何の役にたたねぇんじゃねぇのか?世界中探してもこれほど無駄はねぇかもな。おい、ウソップ。てめぇも食うか?」
ウソップはキッチンの片隅でひとり、小さな工場を広げている。突然話しかけられ、一瞬肩をビクッ震わせ、そして鼻を縦に揺らして小さく頷いた。
「ほれ、口をあけてみろ」
実に微妙な大きさで開けられたその口に、サンジは少し離れた場所から器用に豆を放り込んだ。
「この豆ってさ、どうやら月光で育つらしい。満月の夜に収穫するんだと。フランキーに聞いてからというもの気になってたんだが、どうにか手に入ってよかったぜ。コーラしか飲まねぇのかと思ったら、そうでもねぇのな。だが、あの価格はねぇ。こういう時に損するんだ、俺がまだ若いからクソが。なめられて足元を見られちまう。そういやてめぇにもさんざ舐めらちまったけどな。ったく、何が楽しくて野郎なんか舐めてんだか。野郎はしょっぱいだろ?」
といいつつ、またゾロの口に豆をいれた。そして、
「おい、塩加減はどうだ?」
真顔で問う。
籠いっぱいに入っていた豆も次々に剥かれ、残りは半分もなさそうだ。
「おっ!でっけえの発見!」
一際大きな豆をくるっと剥いて、目の前のゾロの口元へと運んだ。玉子の黄身ほどはありそうな、丸く淡い黄色の月光豆。
「ん?弁当がついてる」
無言で豆を食うゾロの口元についた小さな欠片を、サンジは何故か自分の舌先で舐めとった。

甲板から甲高い声がする。
コックを呼ぶ声だ。
すると普段は猫背ぎみのサンジの背中がピンとまっすぐに伸び、大声で返事した。
「OKナミさん、すぐに行くよーー!昼だって夜だって、ナミさんに呼ばれればベッドだって行くさ!今夜俺を呼んでくれよなーーー!」
ゾロの膝から素早く飛び降り、剥きかけの月光豆すら放り出して、サンジはナミの元へと走っていった。


いそいそとナミの元へ向かう後姿と、パタンと閉ざされたキッチンの扉を見て、ウソップがゾロに問いかける。

「………な…んだ、ありゃ?」

コックが置き忘れた月光豆を口に放り入れると、

「ふん。ただの嫌がらせだろ」

ゾロは濡れた口元を、乱暴に腕で拭った。
甲板からサンジの声がする。
「フランキー、てめぇ、またパンツをはいてねぇのかっ!」
そしてナミの怒鳴り声が響き、続いてフランキーの悲痛な叫び声が聞こえるや、ルフィとチョッパーの高らかな笑い声が甲板の方から聞こえてきた。







青白い、月明かりの夜だ。
にゅうっと伸びた真っ黒な影がどこまでもついてきて、ずっと自分の動きを模倣している。
「ちっ、月光が眩しくていけねぇぜ」
ひたひたひたひた、素足の足音と影を共に、風呂へと向かった。
取っ手に手をかけると、風呂場から話し声が聞こえてきた。低い男の声だ。ナミやロビンじゃないなら遠慮することはないと、フランキーは無言で扉を開けた。

「よォ、てめぇもこんな夜中に風呂浴びにきたのか?」
コックが陽気な声でフランキーに話しかけた。
「この風呂は広いしさ、もちろん最高なんだが、出来れば露天風呂もつくってくんねぇか?こんな気持ちがいい夜なのに、室内じゃもったいねぇだろ」
確かに、上出来なくらいまんまるな月夜の晩だ。
だが、
「月見酒とか」
それもいいけれど、
「ナミさんやロビンちゃんと一緒の風呂でさ、酒を交わしつつなんて、想像だけで鼻血やべぇ」
そうゲラゲラ笑う男は、仏頂面した剣士の膝の上にいる。まるで椅子にもたれかかるようにして、男の上に座っている。新しく、広い湯船の中のすみっこで、もちろん裸だ。
「……おめぇら、なにやってんだ?」
愚問かもしれない。が、あまりにあっけらかんとした様子に、フランキーの疑問はふと口をついてしまった。
「コミュニケーション?」
そう答えたコックに、同じイントネーションで聞き返した。
「コミュニケーション?」
「俺らさ、いつも喧嘩ばっかしてんだろ?」
だから、たまにこうして親交を深め合うんだと、理由はもっともらしいが、違うような気がする。が、その違いついてあまり考えたくないフランキーは、
「……へぇ」
呟きのような返事をして、風呂に置き忘れてしまったサングラスを手にした。
「まァ、あんま長湯はしねぇこった。のぼせるぞ」
そのまま風呂場を出ようとしたら、「何だ、入らねぇのか?なァ一緒に風呂入ろうぜ」、サンジから誘われ、手を左右に振って断った。
バタンと閉ざされた扉の向こうから、またコックの笑い声がする。
何が楽しいのかかなりご機嫌だ。もしや酒でも飲んでいたのだろうか、コックがやけに赤い顔をしていたようだが、もしかすると酒だけが原因ではないかもしれないとフランキーは思った。
それじゃなんでだ、と、うっかりと思考があらぬ方向へ飛びそうになって、彼はそれ以上考えるのをやめた。あまりにも楽しくない想像だからだ。
が、巨大な疑問符がフランキーの頭の上でもあもあ湧き上がり、考えるのをやめさせてくれない。
剣士は目を瞑ったままだった。終始無言のまま、憮然とした表情で修行僧のように固く目を閉ざしていた。だがコックを膝に乗せていた。さっき、コックから風呂を誘われたとき妙な殺気を放ったような気がするが、おそらく自分の気のせいだろうと思う。いや、できれば気のせいであってほしいというのが本音だ。

キンキン、キーーン、どこまでも澄んだ空気に、月光が反射している。
黒くくっきりとした影が、何度も首を傾げつつ、ひたひたひた微かな足音とともに男部屋へと消えていった。







「……ぐっ」
思わずゾロが呻ると、
「あ。悪ィ」
ルフィは誤りつつも、たった2歩で、大きな歩幅でまるで風のように食料庫を駆け抜けていった。
「…あのヤロ。ドアぐれぇ、閉めやがれってんだ」
ゾロが扉に手を伸ばそうとすると、サンジが下から呟いた。
「……やべ…いっ…ちまった」
ルフィが?と、訊く前にゾロは理解した。どうやら達してしまったらしい。
「…ルフィがてめぇを踏んで、…腹がぐっと押されて…奥まで」
入ってしまったからか、最後まで説明はしなかったものの、艶やかな表情でゾロを見る。そして余韻のように、ぶるっと小さく身を震わせた。

誘ったのはサンジだった。
ナミとロビンがミニメリーで仲良く買出しにでかけ、その隙にとゾロを食料庫に誘った。
サンジが気にするのは女性たちだ。
「絶対に知られちゃなんねぇ。だからてめぇも右見て左見て、大丈夫だと思ってももう一度確認して右左だ。壁に耳あり障子に目あり。こんな疑いは持ちたかねぇが、ロビンちゃんには注意しろ。おい、わかったか?聞いてるか?くどいようだが、右見て左見てロビンちゃんのハナハナには要注意だ。聞いてんのかこの野郎!寝るなっ!」
横断歩道の渡り方よりもくどい指示をゾロは受けていた。
そして反動のように野郎には無頓着だ、が、だからといって、こんなことは想定外だ。
まさかやってる最中に背中を踏まれようとは想像もしてなかった。体位は正常位だ。ドアが2つあるのも考えものである。
それにしてもルフィがそれらを気にしないのはどういう心理なのか。おおらかといえば聞こえはいいが、ただ単に興味がないというか、または知識がないのか或いはどうでもいいのか。どちらにしても自分たちの行為が眼中にないことだけは確かだ。

「もいっかい、やるか?まだだろ?」
サンジがゾロに問いかけた。
「…いや。いい」
そして身体を起こし、身支度を整えるゾロに向かって笑った。
「アハハ、シャツにルフィの足跡がついてるぞ」

サンジは着替えが終わり、さっさと部屋を出るなり甲板に向かって叫んだ。
「フランキー!買出しに行くぞ!コーラも買うから荷物運びに付き合え!」
食料庫の在庫はおよそ半分といったところだ。人数も増えたから、コックとしては多少余裕をもっておきたいのかもしれない。
倉庫の片隅で、大きな麻袋が倒れているのがゾロの目に止まった。ルフィが間違って蹴り飛ばしたのだろうか、横倒しになった麻袋から月光豆がごろごろと転がり落ちていた。







「よォ、ちっと訊きてぇんだが」
ウソップが工場でひとり作業をしていたところ、珍しくフランキーがやってきた。
「ヘンなことを聞くようだが」と、前置きして、
「あの腹巻とぐるぐるは」そう言いかけると、ウソップはすぐさま両耳を指で塞いだ。
「俺は知らねぇ。聞いてくれるな」
すると耳からズボッと指を抜き取られ、長い鼻が頼りなげにゆらゆら揺れた。まるで彼の心情を表しているかのようである。
「いいから聞けって。夜中に風呂でなにやってたなんか、そんなのはどうでもかまわねぇんだが、ありゃあ、やっぱアレなのか?」
「夜中に、風呂で、なに?」
ウソップが首を傾げた。
「広い湯船で離れて入ろうが、たとえ二人くっついていようが個人の自由だ。だが」
「湯船で、くっついてか?」
「こう、腹巻が、ぐるぐるを後ろ向きで、膝に乗せてだな、まあいい、それよりも」
「後ろ向きで、お膝の上ってか?」
「そうだな、今にして思えば、もしかすると、ありゃ入ってたのかもしんねぇ」
「なにが?」
「ナニが」
NOOOOOOOOO!!! ウソップが悲痛な声で叫んだ。
「おい、こら、フランキー!嫌な話をどうもありがとう!何で俺様にそんなことを聞かせやがるんだ!嫌がらせか?頭ん中でうっかり想像しちまったじゃねぇか!」
「自分から訊きやがったくせに。ついでにもうひとつ教えてやる。ぐるぐるは全身ほんのりとピンク色でな、色が白いからかもしれんが、こう金髪からぽたぽた水が滴っていて、へんな色気をプンプンさせてやがったぞ」
さぞや喚き散らすだろうと思っていたら、ウソップは手を左右に振って、いきなり冷静になった。
「そりゃサンジじゃねぇ。ほんのりピンク色とか、色気とか、あのサンジに限ってありえねぇから」
「気のせい気のせい気のせい」、そう繰り返し呟きながら、その場を立ち去ろうとするウソップの右手と右足が同時に出ている。
「おい?まだ話が」
その背中に呼びかけるとおもむろに振り返り、人差し指をビシッとフランキーに突きつけ、
「今後一切、ヤツラの話を俺に聞かせるんじゃねぇ。単体なら許す。だが番いは許さん」
そういい残して、ぎくしゃくとナンバ歩きで部屋を出て行った。







青々とした芝がはえた甲板で、2人の男が暴れていた。半端ないスピードで、互いに応戦する様はまるで大道芸のようだ。
フランキーが近くにいたチョッパーに訊いた。
「喧嘩か?」
「ん?ああ、アレか。なんか言い合いしてたな。いつもああだから気になんねぇけど」
二人とも退屈してるんだろうと、チョッパーは読みかけの本をぱたりと閉じた。
いくら慣れていても近くで喧嘩されればやはり煩いのか、どうやら場所を移動するつもりらしい。
ナミもロビンもルフィもいなくて、少し離れたところでウソップが工場を広げていた。
「何が原因なんだ?」
「喧嘩の原因か…。よく知らねぇけど、チラッと聞こえたところによれば、アレがソレで、豆がどうしたこうしたいって、歩み寄りがどうのこうので、嫌がらせだってゾロがいって、バカとか、頭がおかしいとか……」







10分くらい前のことだ。鍛錬を終えたゾロが見張り台から降りてきた。
首にかけたタオルで汗を拭きつつ、コックに水を頼んだ。すぐに用意された水は程よい冷たさで、一気に飲み干し、ようやく一息ついたゾロはコックが持っているざる一杯の月光豆に視線を止めた。
その視線に気づいたサンジが、
「今晩は月光豆のスープだ。フランキーが食いたがってたからな。茹でたら食わせてやるか?」
それを聞いたゾロが大きく舌打ちした。
「またか」
「おい、不満でもあんのか?この船の食い物の文句はいわせねぇ。飯を褒めろとはいっていわねぇ、苦情は許さん」
すると、
「文句はいってねぇだろ。またかといっただけだ」
「舌打ちしただろ。無意識で嫌がらせか?」
ゾロの眉がピクッと上がり、
「嫌がらせ?てめぇじゃあるまいし」
サンジのこめかみがピクピク動いた。
「なにが言いてぇ?豆が好きじゃねぇのか?」
「嫌いとは言ってねぇ」
「別にてめぇの好みなんざどうでもいい。ただ、俺はてめぇと違って人間関係を大切にしてる。新しい仲間の為に、その好物を作ってなにが悪い?俺の仕事に口出しすんなっ!」
「口出ししてねぇだろっ!いちいち怒鳴らなきゃ話もできねぇのかこの阿呆が!」

ナミとロビンは黙ってその場を立ち去った。喧嘩の原因があまりにくだらなかったからか、ナミはあからさまな溜息をその場へ置き土産として置いた。ウソップは仕事が途中だったため、すぐに場所を移動することができない。
「おめぇら、喧嘩してもいいが、こっちにくんなよ!」
二人が聞いているかどうかわからないが、取りあえず注意してから懐から取り出したもので、すっぽりと両耳を塞いだ。耳栓をしたのである。







「仲間も増えた、だからこれをきっかけにてめぇともうまくやろうと俺なりに努力したつもりだ。が、お前にその気がなけりゃ何をやっても無駄なんだってようやく気づいたぜ」
サンジが煙とともに言葉を吐き捨てた。
「努力?」
ゾロが首を傾げると、
「しただろうがっ!皆の前で『こうみえても、ほんとは仲がいいですよー。嘘じゃないですよー』って、ナミさんやロビンちゃんの前では誤解されるといけねぇからしねぇけど、あれを俺の努力と言わずになんて呼ぶんだ!」
サンジが怒鳴った。

全部嫌がらせじゃなかったのか?

ゾロが吃驚した。
驚きと同時に、腹の底から湧きあがったのは怒りだった。
「…あれが努力というなら俺が強いられたのは忍耐だ。間違ってるとはいわねぇが、おめぇの努力はズレてる」
「ズレてる?俺が?」
「そうだ。しかも仲間のためかなんか知らねぇが、豆、豆、豆、豆、目障りでしょうがねえ。風呂のことなんざ、悪質な嫌がらせ以外なにモンでもねぇだろうが」
「そんなに目障りか?豆が?聞き捨てならねぇこと抜かしやがって…。コックの俺に向かって、食い物が目障りたァ、どういう了見だこらあああ!」
「豆だけじゃねぇ!このバカがっ!」
二人の額がピキピキと音を立てた。
「…ったく。話が咬み合わねぇにもほどがある。ここまで言うつもりはなかったが」
お前は頭がおかしい。だから変な努力などするな。俺が迷惑する。
そういって、ゾロはサンジを正面から睨んだ。
サンジは眉間に皺を寄せて、物騒な顔をゆっくりとゾロに近づけた。
「てめぇの言いたいことはわかった」
「いや、おそらくわかってねぇ」
「いいや、わかった。確かに、てめぇなんざ相手にしてる俺の頭はイカレてるかもしんねぇ。だが、俺をバカと呼んでいいのはナミさんだけだ。ナミさんが可愛く笑いながら、こうやって」
何故か、いきなりニヤッと笑って、

「それってヤキモチか?ほんっと、バカ」

ゾロの額を指で突いた。







「なんかしんねぇけど、サンジがゾロのデコを突いたら鬼のような顔になったぞ。赤鬼?いや、青鬼?いや鬼だってあんな物騒なツラはしねぇかもな。ゾロの額にスイッチがあるのか?」
チョッパーが呆れた顔をした。
「さっぱり訳がわからねぇ」
フランキーが首を傾げると、「俺もわかんねぇから大丈夫だ」、重そうな本を片手にその場を立ち去った。
喧嘩の理由などあっても無いに等しく、ただ単にストレス解消のひとつかもしれないとフランキーは考えた。
いくら仲間でも、ずっと顔を突き合わせてれば喧嘩することもあるだろう。そして海を眺めるように、甲板で暴れている二人をぼんやりと見た。







「……しつけぇ野郎だ」
ゾロが小さく舌打ちした。
マシンガンのようなサンジの蹴り技を弾きつつ、急所を狙うも避けられ、喧嘩は無駄に長引くばかりである。怒りにまかせ勢いで喧嘩したものの、鍛錬後だからかだんだん面倒になってきた。正直だるい、かったるい、そろそろ昼寝がしたい。なのに止めてくれる仲間もいない。
サンジがゾロを睨んで、
「その台詞は3倍で返す。半端なくしつっけぇんだてめぇはよおおおおお!これから夕飯の用意しなきゃなんねぇってのに」
死んどけ。と、蹴り殺さんばかりの攻撃だ。
なんて面倒な男だ、と、心でぼやき、そしてゾロは考えた。

「お?」
蹴りを避けつつ、サンジの足元にチラリと視線を落とし、
「あ、ナミのパンツか?」
さりげなく、ひとりごとを呟くなり、サンジは片足を挙げたままきょろきょろと甲板を探した。
「嘘?どこどこ?どこだ?」
阿呆めが。
ゾロはニッと笑い、「悪ぃ。気のせいだった」と、白いシャツを鷲掴みにして、自分へと引き寄せ、おもむろにその首へと齧りついた。
甲板に男の悲鳴が響きわたった。







コックが悲鳴をあげている。
その様子をフランキーは見ていた。そしてコックの首にがぶりと齧りついた瞬間、ゾロと視線が合った。キラリとまるで獣のような鋭い眼で、何故か威嚇するかのように剣士が自分を見る。少し笑ったように見えたのは気のせいか。
フランキーは迷っていた。ツッコミを入れたほうがいいのだろうか。

なんで俺を睨む?

そして、こうも考えた。

まさか牽制してるつもりか?間違っても手出ししねぇから心配すんなと言ったほうがいいのか?

言葉にならないものを溜息と共に吐き出すや、くるりと二人に背を向け、ゆっくりとその場を離れた。
同時にウソップが工場の片付けを終えた。
服のほこりを叩きながら、立ち上がった男のその肩を、フランキーはぽんぽんとやさしく2回叩いた。
「お前もいろいろと大変だろうが、困ったことがあったら俺に相談しろ。相談したとて何の解決にならねぇことばかりだが、愚痴くれぇは聞いてやれる。俺にブルースを歌ってもらいてぇならそれもいい。なんにせよ、縁があって仲間になったわけだ。兄貴と呼んで思いっきり慕ってこい」
そういってフランキーはそのまま立ち去り、ウソップは不思議な顔でその後姿を目で追った。その耳に、すっぽりと栓がしてあることを彼は知らない。

甲板の隅に、ざる一杯に溢れんばかりの月光豆が置いてあるのがフランキーの視界に入った。ふと、コックに話した昔話を思い出す。

「ガキん頃、俺が親に捨てられる前だったか。母親が珍しく月光豆のスープを作ってくれてな。それがおめぇ、不味いの不味くないのって、いくら子供の舌でも滅茶苦茶不味かった。だが、それからというもの、今夜のようなでっけぇまんまるのお月さまを見ると、何故か思い出しちまう。ファンキーな俺様の好物はバーガーやコーラだ。なんだけどな、いい思い出じゃねぇはずなんだが、妙に懐かしくてたまんねぇのはなんでだろうな」

その時コックと一緒に見上げた月は、ふくふくと丸く黄色みを帯びていて、まるで食い物のように美味そうに輝いていた。思い出すだけで、フランキーの腹が小さく鳴る。
ザルいっぱいの豆、もしかすると、今日の晩飯には月光豆の料理が出てくるかもしれない。
また腹がぐううと鳴いた。
気づけば陽も傾きかけ、いつの間にやら誰もいなくなってしまい、甲板がすっかり静かになっている。
風も穏やかで順調な航海だ。夕焼の光が照らすものすべてをオレンジ色に染め、ひたひたひたひた、微かな足音と長い影が甲板から遠ざかっていった。














END









2008/3.30 ちふれ様2008サン誕企画投稿物





※お三方からコメントを頂戴しました!

きぬ:狩野さん!
きぬ:なんて事を!!
きぬ:ぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷるぷる
きぬ:こんな
きぬ:こんな!
きぬ:世話焼きでオープンでゾロ大好きサンジを書かれるなんて…!
フカ:好き好き光線振りまきサンジ。
きぬ:だいこーぶつ(だいぶつ、じゃないよ
玉:カリのさん
玉:わあ、なんかやらしい変換した
きぬ:コラコラコラコラコラ
きぬ:カリ言うな、カリ
玉:カリのさん
玉:ふつーにこう変換したんだもの
玉:マイパソが
フカ:ごめんねごめんね、玉パソが変態でごめんね、カリのさん
フカ:、、、あ。
玉:いぇーーい
玉:フカパソも変態入り
フカ:この一月で
フカ:うちの子は変わってしまったんだわ、、、
フカ:あんたたちのせいよ!
フカ:びしっびしっ
玉:すっかりエロイ体に調教されちゃって・・・・
きぬ:も
玉:藻?
フカ:きぬこんとこは、言わずもがなってことよ
きぬ:もっと、って書こうと思ったんだけど
きぬ:それもステロタイプな反応ねぇ、って思ってさ(タバコすっぱー
玉:わーあ、すれてる
玉:こんな子じゃなかったのに。。。きむこ・・・・
きぬ:ほっといて(すっぱー
フカ:きむこも元からじゃなかったのか。
フカ:ってことは、結局二人を調教したのは玉ってことになるのか
玉:調教師と呼んでくれたまえ
きぬ:あのさあ
きぬ:口もとについたものを舐めとったりさあ
きぬ:豆、入れてやったりさあ(口にだよ
きぬ:かぁわいいよなああぁぁぁぁ〜
きぬ:私はね、私はね!
きぬ:こんなふうに自然に頭おかしい事するサンジって
きぬ:ちびりそうなぐらい好き
玉:ちびるんだ
フカ:ほれ、漏れてる漏れてる
玉:ちびっちゃうんだ
きぬ:ううん
きぬ:ちびり「そう」なぐらい、好きなの
きぬ:ちびらないわ
きぬ:決してね
フカ:我慢するのね
フカ:踏まれて達しちゃうんだもんねぇ
きぬ:風呂場でゾロのお膝に乗ってるサンジ見たら
きぬ:ちびるかもしれないわ
きぬ:いえ、ちびるわ
フカ:なんだやっぱりちびるんじゃないの。
きぬ:ええ、ちびるのよ
フカ:踏まれてイっちゃうんだもんね。しかも。
きぬ:踏まれてイっちゃうなんて、どんな可愛い足踏みポンプだよv
フカ:足踏みポンプて!
玉:踏むと出る。<足踏みポンプ
フカ:あんな、子供用プールみたいな黄色い蛇腹なんかじゃない、足踏みポンプ。
フカ:バネは強力ね
玉:素でおかしいサンジ(笑)
玉:きぬさんの大好物
フカ:え、豆?
きぬ:や、豆は普通に好きだから
きぬ:大好きなのは、素でおかしいサンジ!
玉:入ったままふつーに受け答えするサンジ(笑)
玉:かわいい
フカ:ピンクのお豆は特に好きだよね
玉:それ、サンジのちく
玉:サンジのかめのあた
フカ:かめのあた、、、ってなんだろう
きぬ:かめのあたりめ
きぬ:よーく日干しにして、火であぶって食べます。おいしい。
玉:かめのあたたたたたたたたたた
玉:ほわたぁ!
きぬ:ぺしっ
玉:あうっ
フカ:ひでぶー
玉:あべしー
玉:俺は既に死んでいる
きぬ:狩野さんは、そのカラーイラストで腐フィルターが作動したとおっしゃってますが
きぬ:よく誤作動します、ともおっしゃってますが
きぬ:正しい作動です
玉:正常動作です
玉:フィルターも正常です。
きぬ:私らなんて、腐フィルター標準装備で
きぬ:年中作動しっぱなしで
きぬ:誤作動も多いです
フカ:ぽんこつ、ってことね。
玉:ぽんこついうな!
きぬ:ガラクタ一歩手前ってことね
玉:ガラクタいうな!
きぬ:とっしょりってことね
玉:・・・・・そうね
フカ:そうね
きぬ:あ、認めた(笑
玉:あとになって、「あれ、はいってたかも」って思い返すアニキもなかなかだわ(笑)
玉:そうとうなあれだわ(笑)
きぬ:さらっとね<はいってたかも
フカ:アニキは、案外理屈で攻めるタイプなのね
フカ:状況証拠からきちんと推察するんだわ
きぬ:ところで「ナンバ歩き」ってなに?どんなの?
玉:わかんない
玉:なに?
きぬ:欽ちゃん歩きとは違うんですか?
玉:キンちゃんは走りでしょ
きぬ:狩野さーん、どんなですかー?
フカ:右左が同時に出るやつじゃないの?
フカ:ぎくしゃくしたやつ
きぬ:右手と右足が一緒に出る奴からしら
フカ:それそれ
玉:ナンバあるきっていうんだ
きぬ:でもさでもさ、こんだけゾロ挑発して色々やってやらせて
きぬ:挙げ句に「ナミのパンツ」の一言に踊らされるサンジ
きぬ:なんておばかしゃん
きぬ:かわええ〜
玉:おばかしゃん
フカ:おばかわえぇしゃん
玉:意外と実はゾロが
玉:独占欲の塊?
きぬ:だよね
フカ:だよだよ
玉:愛いい
きぬ:だって、フランキー牽制してるもん、明らかにv
フカ:結局、フランキーに焼きもちやいてんでしょ?
きぬ:そそそそ
きぬ:「月光豆」にもね
玉:そそそそ
フカ:新しい仲間のことばっかかまいやがって、オレはオレはオレは?って
玉:だからおひざに乗ってあげてるのに、ぞろったら
きぬ:「それってヤキモチ?」
きぬ:ヤキモチ以外の何者でもねえええええええ!!!!!
きぬ:お膝に乗って、入れてあげてるのに
きぬ:ゾロったら、おばかしゃん
きぬ:おばかしゃん同士の恋は、かわいい
玉:なんかゾロが可愛い
フカ:踏まれて奥入っただけでいっちゃうくらい感じてるんだもの
きぬ:そそそそ
玉:ゾロが可愛いだなんて!
フカ:サンジだってめっちゃラブなんだよ
きぬ:めっっっっちゃめちゃラブだよ
きぬ:レディには知られたくないけど
きぬ:男連中にはべっつに知られても構わねえぐらい、ラブなんだよ!
きぬ:サンジが素で「頭おかしい」SSって、大好きだ(うっとり
玉:凶悪な顔でサンジをおひざ抱っこするゾロも可愛い
きぬ:ゾロもどう出たらいいのかわからなかったのよ。おほほほほほ<凶悪な顔
フカ:困った顔が、凶悪な顔になっちゃうんだよね、ゾロ。
きぬ:我慢してんのよ、動きたいの<お膝にサンジ
きぬ:でも、動いたときにこのクソコックがバカにしたような事でも言おうもんなら
きぬ:と、思うといまひとつノりきれないゾロたん
玉:フランキーに乱入されても動じないゾロ。いや内心は動じてるのかな?
フカ:おもいっっっきり動揺してたらいいわっっ!
きぬ:つか、フランキーが入ってきたのに動じないサンジに、心底「こいつ…」って
玉:動揺のあまりちょっと出ちゃってたり
フカ:オレの可愛いサンジの裸を見やがってクラァァーーーって
きぬ:サンジが「わっ」て言うぐらい、動揺してたらいいわ!
きぬ:中に入ってるゾロのブツが「ビキッ!」てなるぐらい、動揺してたらいいわ!
きぬ:動揺したら、普通は萎えるような気がするんですけどゾロは逆
玉:むしろ独占欲でサイズ倍増
きぬ:サンジ、元から逃げるつもりなんかナッスィングなのに
きぬ:逃げられちゃいかん、とゾロの本能がブツを巨大化させてしまうの
フカ:これ、フランキーが一緒に入ったりなんかしたら、ひょっとしてトコロテ、、、
玉:トトトトトトトトトトトコロテ
玉:それは私の大好物
フカ:アタタタタタタタ
フカ:ホワターーッ!
玉:ほわたぁ!
きぬ:となりのト・コロ・トッコーロ♪
玉:私は既に死んでいる
フカ:私も既に死んでいる
きぬ:私は生きている!
きぬ:げしげし
きぬ:へんじがない
きぬ:ただのしかばねのようだ
きぬ:わーい、一度やってみたかったんだー♪
フカ:とりついてやるー
きぬ:わああっ