ジェットコースターバレンタイン









つまんねぇ話をしてやろう。



ハッピーハッピー、クソハッピーバレンタイン!
ナミさん、ビビちゃん、ロビンちゃん、世界中で俺を待つ、まだ見ぬレディのために。
愛を込めて、たんまりとヘンなもんまで詰めちまって、迷惑なくらいぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう押し込んで。
愛だぜーーーーー、愛!
どっからどこじゅう、みんな愛!
そりゃあもう、てんこもりの愛だ!
受け取ってね、レディーーーーーーー!と、下心全開で全力投球したら、何をどう間違ったのかバカが受け取りやがった。
バカだバカ。上から見ても下から見ても、右も左も、東西南北全てバカ。
緑色した筋肉オタク、頭に芝生を生やして腹巻こいて、刀を差したマリモが受け取った。
なんでてめぇが受け取る?なァーんでてめぇが図々しくも俺に乗ってんのかと、文句の十や二十、蹴りと同梱してくれてやりてぇところだが、奴は卑怯にも急所を握ってきやがった。大事な大事な、生まれてから19年を共にした大切なものを。それを、ぎゅぎゅぎゅううううう、っと。
少しばかり油断したのがまずかった。そう、俺の考えが甘かったのだ。まさか同じ船に乗る仲間に、しかも男に、いくら仲が悪いといっても、よもや背後から羽交い絞めにされて、あまつさえパンツに手を突っ込まれて握られてしまう事態になろうとは。
了承もなくいつまでも調子こいてんじゃねぇ、うっかり潰れたらどうすんだ、どう弁償してくれるんだと不満を訴えようとしたら、
「ん…」
どこからか声が聞こえてきた。
誰だ?変な声を出しやがってと思う間もなく、グリルの上のとうもろこしのようにクルリとひっくり返され、べろべろ舐められた挙句、掌のものをきゅっと絞られ、
「あっ、ん…」
また変な声が聞こえた。
あん?おいおい、男のくせに『あん』はねぇだろ、『あん』は。マリモか?気色悪ィ声を出しやがってと思っていたら、
「阿呆。変な声を出すな」
マリモが俺にそういった。
バカだ。やっぱりこいつは大バカだ。
俺は認めねぇ。絶対絶対絶対、絶対に俺じゃねぇ!さあ耳だ、耳を塞げ!ボケッとすんな!よし、てめぇが塞がねぇつもりなら俺が塞いでやる。華麗なるコックの指ですっぽりと自分の耳を…、どうだ畏れ入ったか。
おい、気の毒そうな眼で俺を見んのはよせ。ついでといっちゃなんだが、もうそこを触るのはやめろ。そこだ、そこ。勘違いしてんじゃねぇ、触れなんていってねぇから。バカに言葉が通じねぇのはホントだな。あーーーー、やだやだやだやだやだ…、バカなんか相手にしてっから、だからますます変な声が聞こえちまうんだ。
なァ、俺の話を聞いてるか?いくら心の声でもちゃんと聞いとけって。
あのさ、マジで勘弁してくんねぇかな。
それ無理だから。
ホント無理。
無理無理無理無理無理無理、ってむりやり押し込むな、クソ野郎!
良く聞けマリモ、ジジイが泣くぞ、それでもいいのか?野郎にケツを掘られるなんざ、やっぱり海賊船なんかに乗せなきゃよかったって、後悔のあまりあの良さ毛が抜けちまったらどうすんだ?あんなに可愛がって、大事に大事に育てたのに、なんてことはねぇけど、老い先短い年寄りを泣かせててめぇは楽しいか?
しかもパティにゲラゲラ笑われんぞ?野郎のくせにケツの穴いじられて気持ちいいのかサンジ。いい様だな、ガハハハハハーーーー、ってな。想像するだけでクソむかつくぜ、なんで俺がヤツに笑われなきゃならねえんだクソヤロー。
あ?
なに?
力を抜けって?
残念だが、そりゃあ無理な注文だ。いくらコックでもそんな注文はお受けできねぇ。無断で裏口から入ってきた客にそんなサービスはしてねぇから。
「クソお客様。お出口もこちらです。早々にお引取り下さいませーー」、ってな。俺の括約筋を侮んな、そんなもんはムリムリ捻り出してくれる。
「やりゃあ、できんじゃねぇか。もうちっとだからそのまま緩ませとけ」
世の中思うようにいかねぇことばっかりだ。
出すにしろ入れんにしろ、緩めなきゃできねぇのは同じだって知ってたか?ほんと、無駄に勉強になるったら。
ごめんな、ジジイ。いまさらだけど、俺はやっぱ乗る船を間違えちまったようだ。
おい、笑ってんじゃねぇぞパティ。てめぇに笑われる筋合いはねぇ。だけど経験者としてひとつだけ教えてやろう。グランドラインにゃ、海王類より怖い魔物が棲んでんぞ。てめぇのような薄ら汚ねぇケツでも需要があるかもしんねえから十分気ぃつけろ。
最後になっちまったけど、さようならは言わない、でも少しだけさよならだねレディ。大丈夫、心配はいらねぇ。こんなの野良犬に噛まれたみてぇなもんで、いやちっとばかりデカイ犬だけど、ついでにチンコもでかいけれど、それでも入っちゃうなんて人間って不思議だねって話なんだけど、長くてごめんな。みんなも狼には気をつけるんだぜ、仲間だと思って油断してると俺みたいにパクって食われちまうから。本当にごめんね、俺を待っていてくれるまだ見ぬレディ。バカが俺の大切なものを握ってさ、うっかり感じちまってさ、不躾なものを根元まで突っ込まれちまって、もう腹の中はパンパンで、これがなんつうか……。
「ン…ッ」
………痛ぇ。
最初から無理があんじゃねぇのかなァ…、って感じで局所的に痛ぇ。
あ、あ、あ、あ、やめ、動くなバカッ!
わかった、わかったからじっとしてろ!いいか、てめぇは1mmたりとも動くな!絶対にだ!
いや違う、間違えた、やっぱり抜け、抜け抜け抜け!
「…っ」
違う、違う違う違ーーーーーーう!ダメだ動くな!内臓が飛び出る!スプラッタになる!











ありねぇ話をしてやろう。



「やめっ、殺すっ…」
するとマリモが辛そうに顔を歪めて抜かしやがった。
「や…めたら、困んのはてめぇだろうが…っ…」
俺?
ボケッ。困るのはすっぽり収まったてめぇのほうだ。お互い様だなんて、死んだって思ってやんねぇ。途中でやめて困んのはてめぇだ。
全力で締めつけてやる。見に物を見せてくれる。さあ千切れっちまえ!
「…くっ」
……おい、呻くんじゃねぇってば。痛いのか?もしかして、まさか気持ちいいとか?いったいどっちなんだ、そのツラは?
……もう切なくってかなわねぇ…。だってさ、これって不毛だよな?可哀相だろいろいろと?てめぇで勃っちまう俺とか、俺で勃っちまうてめぇとか。
バレンタインなのに、これって俺がレディに愛を告白する日なのにこんなことになっちまって。キュートなナミさんには愛がいっぱい詰まったスイーツなチョコをプレゼントして、大人なロビンちゃんにはほろ苦ーーいビターチョコなんてさ、そんな楽しい日に俺がなんでほろ苦くてすっぱい思いを味あわなきゃならねぇんだ?
クソがッ、マリモが、腹巻が、てめぇが、てめぇの、てめぇのおかげで。
「あッ…」
「…んなツラすんな」
俺がどんな顔してるっていうんだアホンダラ!マジで蹴り飛ばしてやりてぇ!イーストブルーまで返品だあああ!この男役立たずにつき返品、もっとマシなの寄こせって蹴り飛ばしてもバチは当たんねぇだろ!
しかも変にいやらしい腰使いなんかしやがるから、マリモのくせに変なテクなんか使うから、ずんずんずんずん突かれる毎に俺は昇りつめちまうんだ。
「ん、っあ…」
「……てめぇ…はっ」
は?俺がなんだって?俺じゃねぇだろ!てめぇこそそんなツラをすんな!ますます切なくってかなわねぇ!
魔獣なんだろ?バカで方向音痴でロロノア・ゾロで、マリモで緑色の腹巻して、鷹の目倒して将来大剣豪になるんじゃねぇのか?だからんな顔してんじゃねぇってば…。
必死こいて、鼻息荒くしてほんとバカ。俺もてめぇもみんなバカ。
せっかくバレンタインだってのに、聖バレンタインも吃驚だろ、自分が死んだ日がこんな使われ方してさ。
もちろん俺だって吃驚で、なのに股間なんかもう爆発寸前で、そりゃもう怖いくらいの高みにいるんだぜ、俺ァ。
「ゾ…ロッ、てめ…くそったれがっ」
「…うっせ、てめぇは黙ってろ」
あのさ、俺だって静かにしていてぇ、でも聞きたくねぇんだ、自分の喘ぎ声なんかさ。だからてめぇに文句言うしかねぇだろ?
仕方ねぇよな?だって少しでも気を紛らわせなきゃ、とんでもねえ声でとんでもない事態に陥っちまうぞこれ。
だから、んもう、そこを擦るんじゃねえったら。どんどんどんどん昇っちまう。いつの間にかすっげぇ高けぇんだけど、手を伸ばせば天国に届こうてなくらい高けぇ。なァ、落っこちるときはどうなっちまうと思う?ぶっとんじまうか?俺が男で、てめぇも男だとか、バカが二人で何やってんだかなァーなんてことも、げらげら笑っちまうくらいに。
「アッ、ア…」
「…とっとと…いっちまえって」
「…ア、アア…、もっ…」

昇って昇って昇って、グングングングン身体が天まで飛ばされて、あん、そこそこー、もっとそこーってなくらい気持ちいいぜーーーーマリモーーー!と、さすがにこれは口に出来ねぇけどな。
もう声なんか我慢してやんねぇ。赤面して後悔してトラウマになるくれぇこっ恥ずかしいもん見せて聞かせてやっから、覚悟しろよ、このスカタンがァ!
「んなツラしやがって……、てめぇは、ほんとに……ボケッ」
アハハハハハハハハ、鏡がなくて良かったぜ。今どんなツラしてっかなんざ知りたくもねぇけどさ、他にも気にするとこあんじゃねぇのか?





やべ、落ちる…









すげ…













な?ありえねぇ話だろ?












と、まあ人知れずこんなことがあったわけだが、結論から言わせてもらえば、俺は悪くねぇ。マリモが俺のものを握ったり触ったり揉んだり扱いたりしなければ、摘んで撫でて擦ったりしなければ、あんなところに指を入れていたいけな場所をいじめなければこんなことにならなかったわけだから、誰に聞いても俺は悪くねぇと確信している。
しかも終わったとたんに寝やがった。俺はあそこがひりひりじんじんしてて眠れねぇんだが、それって身が裂かれるようなことをずっと我慢してたからだよな?
だから俺が悪いんじゃねえってことを覚えとけ。御立派な、ご自慢のものをきちんと片付けないてめぇが悪い。そもそも失礼だろ。あなたに突っ込んでましたよー、てなブツを出しっぱなしにしておくのは。
見たくねぇんだから仕方ねぇ。

心優しい俺に感謝しろ。ちんこは勘弁してやる、同じ男として痛みがわかるしな。だからさ、


とっとと起きてブツをしまえ、朝だ、コンチクショー!クソハッピーバレンタイン!
覚悟して受け取りやがれ!




なァ、この蹴りも愛だよな?















END


2007バレンタインエロです。愛がそこはかとなく、チラリホラリと見えているような、いないような。   2007/2.14